怒りの素というのがあるとしたら(2/3)

 

(注:この記事は、ネガティブな内面があったとしても、慈愛をもって向き合うことでハートが開花するという瞑想経験に基づく意図があります。なので読んでいて自分を責めるような感覚が生まれたならそれを意図しているのではなく、その感覚に対して優しさや思いやりを向けてみることをお勧めしています。)

 

 

 

ついつい感情的になって怒ってしまうことってありますよね?

 

怒ってしまってから反省するものですが、

 

もしそうしてしまうプロセスやシステムがわかったとしたら

 

今までとは違った対応もできるはずです。

 

もちろんこれは無意識の領域だから感覚で向き合うものだけど。

 

 

これってなかなか難しい。

 

でも

 

無意識のこのようなシステムを観ていくのなら

 

理性やマインドを使って分類するやり方も有効です。

 

 

前回の記事のつづきです。)

 

 

 

■怒りの分類(初期仏教)

 

怒りの感情の場合は

 

初期仏教では怒り10種類に分類しているので

 

それを参考にするといいかもしれません。

 

 

これは

 

イライラといった些細な怒りを野放しにすると慢性化して習慣になり「怒(イカ)れる人」を作り上げてしまうという教えです。

 

この「怒れる人」になってしまったら周りの誰も幸せにすることはできないし、その結果自分自身も決して幸せになることはありません。

 

しかもこの「怒れる人」は、存在しているだけで周りの空気を緊張させてしまうのです。

 

 

初期仏教の分類では

 

基本となる怒り1種類とそのエネルギーが暴走して変化した姿9種類といったものがあります。

 

 

①ベースとなる基本的な怒り“Dosa

 (ドーサ:パーリー語~仏陀の時代の古い言葉)

 

 ベースとなる嫌だといった怒りのバイブレーション(穢れ・濁り)

 「つまらない」「退屈だ」「嫌だ」といった「暗い」気持ちが内側に醸されている感じ。

 

 

 

②憎悪“Vera”

 (ヴェーラ)

 怒鳴ったり、他人からも怒っているとわかる振る舞いをしてしまう。

 怒りDosa放置してそれを引きずって増加し外にあらわれるほどになった状態。

 こわばった顔になって周りの人にもその状態が察知されるし、自分でも自覚しやすい。

 

 

③恨み・怨み“Upanāha”

 (ウパナーハ)

 過去の嫌な出来事を繰り返し思い出して怒っている。

 Dosaが芽生えてからそれを繰り返して増幅し、「忘れられない」ほど思い返してしまう状態。

 

 

④軽視“Makkha”

 (マッカ)

 他人の欠点探しをしてジャッジしている。

 人の良い部分を軽視するようになった状態。

 当初Dosaを抱いていると他人の悪いところや弱点を観たいという気持ちになりますが、その人の良いところや強みに気づいたとき、それに反応して「あんなの大したことないよ」と思いたいとき生まれる強い怒りの状態です。

 

 

⑤張り合う“Pālasa”

 (パラーサ)

 戦い続け、相手をつぶそうとし続ける。出る杭は徹底的に打ち続ける。

 当初はDosaの状態で単に「負けたくない」程度ですが、「勝ちたい」「つぶしたい」という気持ちが増えていくと攻撃的な状態になっていきます。

 そうなるとずっと怒りをぶつけたり嫌がらせを続けるようになります。

 こうした方がいいよ!という注意のはずが、度を越して一言だけでは済まなくなります。

 

 

⑥嫉妬“Issā”

 (イッサー)

 相手の悪いところが観たいというDosaを抱いていて、良いところが観えた時

 相手に対して怒りを向けるのは軽視(Makkha)ですが、自分はそれより劣っていると感じて自分に対して負のエネルギーが向いてしまえば “嫉妬”になります。

 比較の苦しみのひとつ。

 

 

⑦物惜しみ“Macchariya”

 (マッチャリヤ)

 自分の幸せや楽しみを他人にはシェアしたくないという感情。

 共有したらなんか損をしてしまうというケチな感覚。

 幸せを独占しようとするけど。

 快楽は得られても満たされた喜びは生まれないから、

 心の底に寂しさや不足感を抱き続けてしまう。

 

 

⑧反抗心“Dubbaca”

 (ドゥッバチャ)

 自我が強くて、他人の忠告や意見に対して反発する。

 反発心から人や世間との関係性を拒絶している感覚があるのに

 関わらざるを得ないから常に苦しく感じてしまいます。

 他者から学ぶこともできないため成長もしません。

 

 

⑨後悔“Kukkucca”

 (クックッチャ)

 過去に囚われ、失敗などを思い出しては嫌な気分を繰り返し、自分にいじめをして明るく物事をとらえることができなくなる。

 過去に囚われるから前に進めなくなり成長も止まる。

 

 

⑩激怒“Byāpāda”

 (ビャーパーダ)

 Dosaそのものが度を超えて成長した状態。

 理由もなく壊したい・殴りたい・殺したいといった無差別的で度を超した破壊欲が生まれて制御しきれない状態。

 理由もないので妄想が制限なく膨らみやすく「破壊しつくしてやる」的なところまで行きつきます。

 

 

 

■Dosaとは不機嫌?

 

①の基本的な怒り(Dosa)は、個人的な見解では、身体の状態(ホルモンバランス)や意識の状態(駆られやすい状態)だと思っています。

 

 

 

ゲーテはこんな名言を残しています。

 

人間の最大の罪は不機嫌である。

 

この不機嫌こそ、Dosaではないかと思うのです。

 

 

この根拠のない不機嫌さ=Dosaを抱いたまま、重要な選択をしたり、行動してしまうと宇宙も周りの人も助けてくれないから、様々なものを失ってしまいます。

 

負の感情以前の素となるものに注意することがとても大切になるはずです。

 

 

 

(つづく)

 

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2019年08月04日